本研究の結果,口唇や舌の外傷は頻繁であり,相手選手との衝突に加え,自身の歯による咬傷も多いとのことであった。また,半数以上の選手が顎関節に異常を訴えており,脱臼の既往を持つ者も少なくなかった。咬合バランスは比較的良好であったが,臼歯の咬耗が目立ち,知覚過敏症状や歯肉の痛みを訴える選手もみられた。
今回のスポーツ医科学的支援は,トレーナーからの要請の元,トレーナー自身がマウスガードの使用や測定を経験することによって,選手や関係者に受け入れられやすかったように思う。また,トレーナーのデータを関連付けてスポーツ歯科学を紹介できたことは,その後の支援内容を双方で確認するのに役立ち,外傷の調査等にも有益であった。選手が最大のパフォーマンスを発揮できるよう,多職種間で連携した支援に積極的に参画したいと考えている。