陸上競技の長距離・マラソンでは、低圧低酸素環境の高地に滞在することによって身体を適応させ、血液量を増やし生理的な機能を向上させた状態で平地に降りることで、楽に走ることができるようになるというのが高地トレーニングの基本的な考え方であり、3週間以上高地に滞在しトレーニングを実施するのがトップアスリートでは一般的な方法である。現在では1997 年にLevineらによって提唱された、“リビング・ハイ-トレーニング・ロー”(LHTL:高地で生活し、より低所でトレーニングする)の方法が欧米では定着している。
上記の科学的エビデンスを基に、現在では国内でも、より低地でトレーニングを行うことや、低酸素室を用いることなど、わが国の高地(低酸素)トレーニングの方法は多様化し、成果につながってきている。これらの背景とトレーニングにおける具体例のについてを紹介した。