保育者養成校における音楽指導者の使命は「保育現場で役立ち、且つ応用技能のある学生を育てること」であると考える。導入として、実習巡回等で保育所や幼稚園等の生きた声を調査報告する。次に、音楽教育の出発点としてZ.コダーイの求めた「うた」、C.オルフが起点とした「ことば」、また子どもの成長過程において必要不可欠な「あそび」の3点に着目し、3種の研究実践を行った。そして、自ら学ぶ意欲を持つ姿勢を重視した授業における目的と約束事を示し、題材選択理由、実践方法、学生の反応、成功点と課題点を挙げ、考察とした。
更に総括として全体からの考察を述べ、学生による記述式アンケート調査結果からの考察も行った。養成校によるカリキュラムや指導者の考え方の相違等、様々な問題の中にあっても、学生が現場に立った時のことを考えての授業内容を指導者は熟考していく必要がある。今一度「音楽を専門に勉強した者が幼児教育養成の音楽の在り方について研究する」ことを再確認し、それに向かって探究していくことが最大の課題なのではないかと考える。