肘部から前腕にかけての回外運動時痛や運動障害の機序についてその解明の一助とするため、回外筋の形態と橈骨神経の走行について、前年度に引き続き詳細に調査した。東京慈恵会医科大学の系統解剖実習屍体45体82肢の上肢を剖出し、観察と計測を行い、前年度の計測値と併せて2項目の指数を算出した。回外筋を貫いているトンネルの長さは短いもので14mm、長いものでは61mm平均で39.4mmの長さに亘っていた。計測対象である回外筋と橈骨神経の立体関係は非常に複雑であるが、神経周囲の構造によっては神経にかなりの機械的刺激が加わることが伺えた。