Côté and Gilbert(2009)によると、コーチは選手の有能さ(Competence)、関係性(Connection)、自信(Confidence)、人間 性(Character)を育んでいくことが必要であると述べられている。多くのものが海外から日本へ取り入れられてきたように、コーチ ング理論も海外から多く入ってくると考えられる。しかし、フェアプレー精神やスポーツマンシップは我が国が世界に誇るスポーツ 文化であり、礼に始まり礼に終わるなどの伝統的な所作など、武道の伝統も欠かせない要素である(文部科学省、2013)。また、 中高生時代に運動部活動に参加している生徒は全く部活動に参加していない生徒よりもライフスキルを獲得している(上野、1998、2006)。 そこで本研究では、日本にとって文化的に関わりの深い剣道に着目し、高校の剣道指導者が指導についてどのような考えをもち、どのような指導を行っているのかを明らかにするために半構造化インタビューを実施し、その結果をもとに日本と海外との 比較を行うことを目的とした。本研究の結果は、日本の文化的背景を考慮したコーチングの在り方についての示唆を与えてくれ るものと考えている。