本論文では、名古屋市厚生局体力課の動向に視点を定め、第2回日本厚生大会の準備が進められていく経過を追跡することによって、市にとって第2回大会が如何なる意義を有したのかを明らかにした。当初、名古屋市は、第1回大会の1.6倍に相当する開催費用を投入し、建設中の運動場で運動競技を網羅した演技種目を都市関係者約10万人に披露しようとしていた。しかし計画通りに準備は進まなかった。第2回大会は、市政の転換に端を発し、次々に浮上した諸問題に市が対応していくに連れ、当初の計画が意図せざる形で縮小の一途を辿り、開幕を迎えた。名古屋市にとって第2回日本厚生大会は、国民動員力という観点で捉えれば、失敗と言わざるを得ない大会だったのである。