本研究の目的は、スポーツの認知的観戦能力の構造を明らかにすることであった。そのためにまず、文献研究とスポーツ記者に対する半構造的面接調査から構成概念を作成した。次に、質問紙調査によって認知的観戦能力の測定尺度を開発した。その後、プロサッカーリーグ観戦者を対象に本調査を実施した。こうして得られたデータについて探索的因子分析及び確認的因子分析を行い、認知的観戦能力の尺度として21項目が選定され、個人プレイ知性認知能力、チームプレイ知性認知能力、心理共感力、身体共感力、美的直観力、フェアプレー重視力の6個の因子を抽出することができた。またこれらの認知は観戦知識と関連されており、観戦者は知識を活かしながら認知し、主体的に意味づけしていることが明らかとなった。