テニスの戦術史―施設・用具の変化と戦術の変遷―
ひすぽ(スポーツ史学会会報)81
本稿では、施設および用具の発展がテニスの戦術の変化をもたらした様子について考察した。1877年の第1回ウィンブルドン大会以降、テニスの戦術は変化を続けている。当初はコートの種類によって適切な戦術がとられていたが、1970年代の間にラケットの素材が木からアルミ、さらには炭素繊維へと進化したことで、コートの種類にかかわらずストローク主体の戦術が主流となった。さらに近年、テニスの戦術がサービスを中心としたものへと収斂されようとしている様子を明らかにした。