【背景】救急搬送は自治体の一般財源で運営され医療財政と分離している中で、救急救命士の処置拡大による医療サービスが提供されている。一方、医療機関で救急救命士が処置を行えば救急救命管理料500点が加算される。【目的】救急救命士が行う処置の受益者負担について市民の意識調査を行った。【対象・方法】2021年12月、全国500名を対象にWEBアンケート「救急救命士の行う処置に関する調査」を実施した。【結果】有効回答491人(男288・平均53歳)。救急車利用時、全部または一部の費用負担に肯定382人(78%)。負担額の上限の最頻値は5,000円(29%)であった。額の高低に年齢と世帯収入の相関はなかった。救急救命士の行う処置について「ほとんど知らなかった」「まったく知らなかった」が68%であった。救急救命処置を1500円(診療報酬500点の3割負担)と設定した場合、心肺停止時に行う特定行為に対しては過半数が費用負担に同意した。【考察・結語】救急車利用の有料化の是非についても様々な議論があるが、まずは救急救命処置について市民の理解を得たうえで救急救命士の救急救命処置の供給理念を考察する必要がある。