本論文は、個人を超越した「チーム」なる存在者を主体として存立する協働行為の指針を究明したものである。NBAで1990年代に「最強」という名を欲しいままにしたシカゴ・ブルズを例に、チームの勝利には、「チーム・パフォーマンスの向上が図れるか否か」と「個々の競技者を満足させられるか否か」という2つの価値判断基準が不可欠であり、「『自分の才能を活かせる否か』という価値判断によって蓄積された個人の資産は、必要とする度合いに応じてチームのために利用されなければならない」という規範的原理によって支えられ秩序づけられている、と結論づけられた。