バレーボールをはじめとする球技は、状況判断能力がそのパフォーマンスを大きく左右することは明らかであり、普段から状況判断能力を要求されるような練習に取り組むスポーツ選手(オープンスキル系スポーツ)と、そうでないスポーツ選手との間には、スポーツビジョン(以下ビジョン)能力に差があると考えられる。これまでの研究では、スポーツビジョン能力として「動体視力」を扱ったものが多く、その他のビジョン能力(眼球運動や周辺視、瞬間視)を扱ったものは少なく、さらに同年代、ほぼ等レベルの競技スポーツ選手で比較検討した研究は見当たらない。また、バレーボール選手の特徴を検討したものは皆無である。 本研究では、スポーツビジョントレーニングソフト「SPEESION」のパーソナルモードを用い、同一大学に所属する競技スポーツ選手と非競技スポーツ選手を対象に、4つのビジョン能力(動態視力、眼球運動、周辺視、瞬間視)を測定し、スポーツ選手と非スポーツ選手、さらにはバレーボール選手(オープンスキル系選手)とクローズドスキル系選手、バレーボール選手の男女それぞれのビジョン能力の差を明らかにするとともに、今後のビジョントレーニングを検討する上での基礎資料を得ることを目的とした。