近年、女性のスポーツへの参加は著しく増加しているが、その一方で女子スポーツ選手の続発性無月経など問題もみられ、生殖機能の維持とスポーツ活動の両立に向けて様々な論議がなされている。中でも月経周期の各位相でコンディションの変化を訴える選手が存在することや、スポーツ外傷や障害の発生頻度が異なることが報告されており、女子スポーツ選手にとって月経との関わり方は関心の高いところである。
本研究は、筋力発揮に関わる生理的指標と心理的指標を用いて、ヒトの月経周期に伴う肘屈曲筋群の等尺性随意最大筋力の変動とその要因を明らかにすることを目的とした。
月経周期の異なる相で等尺性肘屈曲筋力が変動するかについて調べた。随意最大筋力(MVC)は排卵期に最も大きかった。iEMG、随意活性水準、形態は期による変動はなかった。MVC/iEMG比と電気刺激による最大筋力も排卵期で有意に高かった。月経期にPOMSの疲労と怒りスケールが高かった。月経周期に伴う筋力の変動は筋の内在的要因によっていると考えられた。