本研究では超音波断層法を用いて、関節角度変化に伴う腱の移動距離を計測し、モーメントアームを算出する方法を考案した。ある一定の力レベルを維持したまま、関節角度を変化させ、超音波断層法を用いて腱の動態をビデオに録画した。力レベルは随意最大筋力の30%と60%および、安静の3条件であった。録画された映像を用いて、腱の移動距離を測定した。腱の移動距離を関節角度変化分で除することにより、その区間のモーメントアームを算出した。60%および30%条件で得られた値には有意差はなかったが、この両者と安静条件の値には有意な差が認められた。30%および60%条件では関節角度変化に伴う腱の移動距離が適切に評価されていると考えられ、算出されたモーメントアームは妥当であると考えられた。