これまでに高齢者における筋形状と力発揮との関わりについての研究はほとんどない。本研究では超音波Bモード法を用いて高齢女性の膝伸筋の筋形状を測定し、力発揮能力との関係を検討することを目的とした。被検者は健常高齢女性35名(63-79歳)で、60および180deg/sの角速度で膝伸展のピ-クトルクを測定した。また、超音波装置を用いて大腿長50%部位で外側広筋・羽状角・筋束長と、大腿前部の筋厚を測定した。さらに大腿前部の筋厚から膝伸筋の筋断面積を推定した。大腿前部の筋厚はこれまでに報告されている20-30歳代女性よりも約20%低い値であった。筋断面積とピークトルクの間には、有意な正の相関が認められた。高齢女性においては、年齢より筋量が力発揮能力に影響を与え、その際の羽状角による力の伝達のロスはわずかであった。