本研究では筋・腱複合体の短縮速度を一定にすることが可能かどうかについて研究を行った。対象とした動作は、足関節の背屈動作で、コンセントリックのみとした。先行研究で報告されている力発揮中の前脛骨筋モーメントアーム(ma)-関節角度(a)関係ma=43.6*sin(a-13.1)から、筋・腱複合体の短縮速度を一定にするための角速度を関節角度1度ごとに設定し、CON-TREXの角速度を制御した。このとき、超音波Bモード法を用いて筋の動態をビデオに録画し、筋・腱複合体の短縮速度を求めた。角速度のピーク値を10deg/sに設定した場合、筋・腱複合体はおおよそ5~12mm/s、30deg/sに設定した場合はおおよそ20~40mm/sで短縮していた。今回新しく試みた方法、および従来の方法ともに、1回の筋力発揮中、筋・腱複合体の短縮速度に変化がみられ、モーメントアームのみを考慮するだけでは不充分である可能性が高い。