論集 室生犀星の世界(下)
龍書房
同署は室生犀星学会編。今野担当箇所の第4章第6節「超現実主義的作品論‐「蜜のあはれ」の場合‐」は、室生犀星晩年の小説「蜜のあはれ」が具備する超現実性の闡明を主眼とした論考。作中に展開する奇想に加え、会話文のみによる叙述が、作品時空の非日常的なゆがみを生起させている点を確認。また、編集・配列の意図を手がかりに読解を進め、未成の愛の実現というモチーフを浮上させる。さらに愛の実現の回避によって超現実性が維持されるという作品の機構について明かにする。
第4章、第6節、超現実主義的作品論‐「蜜のあはれ」の場合、pp.274‐288