「魚と公園」論(上)
室生犀星研究、第15輯、pp.18-29
犀星「魚と公園」は、従来の論究も少なく、情緒的・詩的な短編という位置付けがせいぜいであった。しかし、〈魚〉は犀星文芸における枢要な文芸的イメージであり、その意味で同作の持つ意義は大きい。本論文では、まず〈魚〉が女性性の比喩として明確に機能している点を指摘し、一見ストーリー性の希薄な叙述の背後に、整斉性に富む構造を浮上させた。
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