芥川龍之介「戯作三昧」の構造 (査読付)
二松学舎大学大学院紀要二松、第11集、pp.125-158
芥川「戯作三昧」は挿話並列型の作品と見做される傾向にあったが、本論文では同作の芸術家小説としての実質について立体的な構造化を試みた。まず、主人公馬琴の八犬伝作者としての面へ着目することにより物語単位を一本の軸線に沿って整序し、さらにそれが主人公の在り方の刷新という主題に結びつく動的な展開相を跡付けた。併せて芥川歴史小説の骨法にも触れる。
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