芥川龍之介「偸盗」の作品構造 (査読付)
二松学舎大学大学院紀要二松、第8集、pp.171-197
芥川「偸盗」の文芸構造闡明の試み。芥川作品として異例の長さを有する同作は兄弟愛の物語という一見通俗的なストーリーを持つ。が、兄弟愛不成立の地平の準備で、通俗性は回避された。超越的規範なき場にあって、なおかつ人間性を制御する自然性の、人間における内在が表明された作品として同作を分析。なお、同作は失敗作との評価が定着しているが、この点について作品の構造上の齟齬を指摘し新見を示す。
27頁