「芋粥」論
人文論叢、第50輯、pp.215-233
芥川「芋粥」を主人公の欲望の物語として解読した。作品舞台である「京都」「敦賀」の対立という側面に着目して作品構造を分析。その結果、従来、弱者と強者の対立とのみ見られがちであった主人公と副主人公の関係の背後に、異文化間の対立という問題を確認し得た。さらに、それが〈本質的な他者〉との出会いという主題面での問題設定と連動している点を指摘し、新たな読みの方向を示した。
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