芥川龍之介の初期習作群について‐「死相」「老狂人」「義仲論」を中心に (査読付)
人文論叢、第45輯、pp.81-98
副題に示した3作品は、芥川文学の原点として重要視されてきた初期習作である。ただし、3作品に共通する要素は少ないとされてきた。が、私見では、いずれも〈拠所不明意識〉と〈死によって空虚化される生の認識〉という二つの主題系の変奏と考える。この二つの主題系が芥川文学の始原の段階の文学的基層を形成していたと見做し得るからである。如上の点について、作品形象の分析を通して論究した。
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