尾山篤二郎における啄木　（査読付）

国際啄木学会研究年報、第11号、pp.41-53

石川啄木受容研究の一環として、歌人尾山篤二郎におけるそれを論じた。従来、篤二郎と啄木との関わりについては、論じられることが稀であった。しかし、啄木の没年前後、篤二郎は啄木短歌を高く評価しており、篤二郎における啄木受容は看過できない。当初、篤二郎が高く評価したのは、啄木短歌における現実主義的作風と感傷性との2点である。特に感傷性は篤二郎と啄木の資質的な共通項であった。大正期に入って、篤二郎の啄木評価は低下するが、それは篤二郎が自らの作品から感傷性を払拭していく過程と重なる。なお、本稿は篤二郎の啄木追悼文「故石川啄木君」の資料紹介としての意義も併せ持つ。

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