芥川龍之介「老年」の文芸構造 (査読付)
日本文藝学、第42号、pp,1-15
芥川「老年」の文芸構造を闡明した作品論。従来の作品理解は、主人公の造型に〈空虚〉〈不毛〉等を読み取るものと〈情熱〉〈情念〉等を読み取るものとに大きく二分されている。これら両様の作品理解を統合した点に本論文の骨子がある。覗き見・太祇句・一中節順講等々の趣向の分析を通して、主人公を最後の江戸の人と把握し、〈情熱〉〈情念〉を前提とした〈侘しさ〉という形で同作の文芸性を析出した。
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