芥川龍之介における啄木・ノート
国際啄木学会新潟支部報、pp.2-8
芥川龍之介の作家的変遷の様相を、芥川の石川啄木評価の変動を視座として跡付けた論文。初期・中期の芥川の啄木評価は、決して高いものではなかった。むしろ、啄木に代表される生活派短歌に対しては、冷淡な姿勢を保っていたと見做してよい。しかし、晩年の芥川は、一転して啄木を高く評価する。それは観念の世界から現実生活へと関心を移動させていった芥川の道程にほぼ重なり合うものと見做し得る。
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