芥川龍之介「地獄変」の語り手
全国大学国語国文学会夏季大会、(「研究発表資料」pp.40-45)
語り手及びその語りの特性を軸に「地獄変」を論じた。同作は人格性を備えた語り手によって語られる作品であり、出来事は時間的順序に忠実に展開する。このような展開になるのは、語り手が事後的に知り得た情報を、生起した順序に整理し直しているからに他ならない。この点にこそ、語りが招きよせていく虚構性の所在を確認し得る。