「蜜柑」の世界と芥川文芸における位置
全国大学国語国文学会冬季大会、(「研究発表資料」pp.22-27)
芥川「蜜柑」の作品世界の特質闡明と、芥川文芸の展開相の中への位置付けとを試みた。従来、「蜜柑」は高い整斉性を備えた作品として肯定的な評価を得てきたが、その一方で、ひたすら主観的に〈小娘〉を解釈していく語り手〈私〉の在り方に限界・偏向を指摘する見解もある。本発表では、双方の読みの調停によって、穏当な作品理解を成立させようと企図した。