芥川龍之介「老年」の文芸構造
第42回日本文芸学会大会
既口頭発表「芥川龍之介「老年」論」に補訂を加えたもの。芥川「老年」の文芸構造を闡明。従来の作品理解は、主人公の造型に〈空虚〉〈不毛〉等を読み取るものと〈情熱〉〈情念〉等を読み取るものとに大きく二分されている。覗き見・太祇句・一中節順講等々の趣向の分析を通して、如上の作品理解を統合した。主人公を最後の江戸の人と把握し、〈情熱〉〈情念〉を前提とした〈侘しさ〉という形で同作の文芸性を析出。