「羅生門」の平安京
芥川龍之介研究会例会
芥川「羅生門」の時代設定は、従来概ね「平安時代末期」とされてきた。しかし、古文献・史料を参照すれば、従来の理解の誤謬は明白である。羅城門は平安中期に倒壊し、以後再建されていないからである。本発表では、如上の誤謬がなぜ定説化してしまったのかについて、作品構造の分析を中心に論じた。併せて、『今昔物語集』と芥川「羅生門」との逆転した影響関係に触れた。