「幼年時代」の形成と世界
室生犀星学会秋季大会
犀星「幼年時代」について、その形成過程を中心に、文芸的特質を論じた。従来、同作は素材主義的な発想による「美化」「理想化」の目立つ作品とされてきた。本発表では、人物形象の分析を基軸に、同作が同時期の犀星詩の達成及びドストエフスキー受容に基づく、高い方法意識に裏付けられた作品であることを論証し、犀星文芸の展開相の中に価値評価的に位置付けた。