伝統スポーツの伝承は師匠(指導者)と弟子(学習者)との間で取り交わされるコミュニケーションによって支えられている。これはJ・レイヴとE・ウェンガーが指摘するように十全的参加者となることで獲得されていくものだと考えられている。身体技法の獲得については、M・モースが先鞭をつけ、P・ブルデューによって展開されたハビトゥスが有名であるが、これ以外にも多くの研究蓄積がある。本稿では、これまでの研究成果を参考にしつつ、身体行為によって認識の枠組みが作り上げられていくという考え方に基づきながら、具体的な事例として「剣道」の「構え」を取り上げ、これを手がかりに型の学習について検討を行った。