本研究の目的は操作系スキルの一つであるボールつき運動が幼児のボールつき回数に及ぼす効果を検討し、幼児の運動有能感の向上や健康増進の一助とすることである。
対象はY市保育園の3~5歳の幼児である。まず本研究ではボールつき運動を開始する前年度に同保育園の幼児50人(対照群:年少男児14人、女児12人 年中男児11人、女児13人)を対象にボールつき回数を測定した(7月、2月)。次に翌年度、同保育園の幼児36人(運動群:年少男児10人、女児8人 年中男児8人、女児10人)を対象にボールつき運動による介入を行った。ボールつき運動は同保育園で7か月間実施した(3~4日/週、約20~30分/日)。結果は以下の通りである。
1. 7月および2月において運動群と対照群の身長および体重を比較する
と、両群間にいずれも有意差は認められなかった。
2. 7月および2月における年少のボールつき回数をみると、時間およ
び群間のいずれにおいても有意差は認められなかった。一方、年中をみると、男女とも運動群のボールつき回数は7月(介入前)よりも2月(介入後)で有意に増加し、さらに2月では、運動群のボールつき回数は対照群よりも有意に多かった。
以上より、ボールつき運動の効果は男女とも年少よりも年中の方が大きかったことから、特に年中時に積極的にボール遊びを行うことが幼児の操作系スキルを高める上で効果的であると思われた。