子どもの体力、特に投能力は依然として低く、その改善が必要である。そこで本研究の目的は7か月間のボール投げ運動(投運動)が幼児の投距離に及ぼす効果を検討することである。
対象は保育園の年中および年長クラスの4~6歳の幼児である。投運動に参加した幼児は51人であった(運動群:年中男児13人、女児14人 年長男児15人、女児9人)。
投運動は保育園で週に3~4日の頻度で行い、1日あたりの投運動の時間は約20~30分間であった。投運動は7か月間行い運動開始前(7月)と運動終了後(翌年2月)に投距離を測定した。さらに投運動を開始する前年度に同保育園の年中および年長クラスの幼児49人(対照群:年中男児15人、女児8人 年長男児12人、女児14人)を対象として運動群と同時期に投距離を測定した。
1. 運動群では男女とも運動終了後の投距離は運動開始前に比べていず
れも有意に大きかったが、対照群では年長男児および年中女児で投距離の有意な増加は認められなかった。
2. 運動群はすべてのクラスにおいて対照群よりも、投距離の増加率がい
ずれも大きかった。
したがって、保育園で積極的に投運動を取り入れることは幼児の投能力向上にとって有意義であることが示された。