【目的】本研究の目的は高校ボート競技選手の筋量と競技力との関係を競技レベルの観点から検討し、競技力向上につなげることである。【方法】対象はS県の高校ボート部に所属する男女47名(男子30名、女子17名)とした。測定項目は身長、体重、筋量(上肢、体幹、下肢)、2000mタイムとした。筋量の測定はIn Body430(In Body Japan社製)を用いて行い、2000mタイム(タイム)はローイングエルゴメーター(Concept2社製)を用いて測定した。競技レベルによる分析は対象者を上位群と下位群の2群に分けておこなった。【結果】男子では上位群および下位群のいずれにおいても筋量とタイムとの間に有意な相関関係がみられた。一方、女子をみると上位群では上肢および体幹で筋量とタイムとの間に有意な相関関係を示したが、下位群ではいずれの部位でも筋量とタイムとの間に有意な相関関係はみられなかった。【結論】男子は筋力や筋量の増加により競技力の向上が期待できるが、特に女子の下位群では筋量と競技力との間に有意な相関関係がみられなかったことから、筋力や筋量の増加もさることながら、技術面の習得を十分に行うことが競技力の向上にとって重要であると思われた。