保育園における7か月間のボール投げ運動が幼児の投距離に及ぼす効果
第30回日本臨床スポーツ医学会学術集会抄録集. 27, 4, S231, 2019.
【目的】子どもの体力、特に投能力は依然として低く、その改善が必要である。そこで本研究の目的は7か月間のボール投げ運動が幼児の投距離に及ぼす効果を検討することである。 【方法】対象はY市保育園の年中および年長クラスに在籍する4~6歳の幼児である。ボール投げ運動に参加した幼児は51人であった(運動群:年中男児13人、女児14人 年長男児15人、女児9人)。ボール投げ運動は保育園で週に3~4日の頻度で行い1日あたりのボール投げ運動の時間は約20~30分間であった。ボール投げ運動は7か月間行い運動開始前(7月初旬)と運動終了後(2月中旬)に投距離を測定した。さらにボール投げ運動を開始する前年度に同保育園の年中および年長クラスの幼児49人(対照群:年中男児15人、女児8人 年長男児12人、女児14人)を対象に投距離を運動群と同時期に測定した。 【結果】運動前後の運動群と対照群の身長および体重には有意差はいずれも認められなかった。運動群では男女とも2月の投距離の平均値は7月よりもいずれも有意に大きかったが、対照群では年長男児および年中女児で投距離の有意な増加は認められなかった。さらに男女とも運動群は対照群よりも7月から2月の投距離の増加率がいずれも大きかった。 【結論】1日あたり短時間のボール投げ運動を7か月間行うことにより幼児の投能力が向上することが分かった。したがって保育園や幼稚園で積極的にボール投げ運動を取り入れることは幼児の投能力向上にとって有意義であることが示された。
〇津山 薫、鈴木一歩、中嶋寛之
S231