幼稚園児(3~6歳)の体力テストにおける性差の比較~25m走、立ち幅とび、反復横とび、ソフトボール投げを指標として~
第28回日本臨床スポーツ医学会学術集会
【目的】本研究の目的は、幼児の走・跳・投の能力を縦断的に測定し、幼児の体力の実態を明らかにし、幼児の健全な体力増進を図ることである。 【方法】対象はY市E幼稚園の幼児295人とした(男子 年少:43人、年中:40人、 年長:78人、女子 年少:39人、年中:38人、年長:57人)。測定項目は25m走、立ち幅とび、反復横とび、ソフトボール投げ(ボール投げ)とした。測定は2016年7月に1回目(年少から年長)を行い、2017年2月に2回目(年長のみ)を実施した。なお年少の測定は立ち幅とびとボール投げのみとした。さらに年少から年長の保護者を対象に運動習慣に関するアンケート調査を実施した。 【結果】2016年7月の結果をみると、25m走、立ち幅とび、反復横とびでは男女間に有意差はほとんどみられなかったが、ボール投げでは年少から年長のいずれにおいても男子は女子よりも有意に大きい値を示した。さらに2017年2月の結果では、年長のボール投げで男女差がさらに大きくなり、男子の値は女子よりも約40%大きかった。加えて幼稚園以外での定期的な運動の実施状況をみると、水泳、体操、サッカーが多く、投動作を含んだ運動はみられなかった。 【結論】幼児の25m走、立ち幅とび、反復横とび、ボール投げの実態が示され、特にボール投げでは男女差が大きいことが分かった。したがって特に女子では投動作を含む運動遊びを積極的に取り入れ、投能力の向上を目指す必要があると思われた。
○津山 薫、馬場進一郎、中嶋寛之
日本臨床スポーツ医学会誌, 2017, 25, S308.