スピードスケート(SS)競技では幅約1㎜のブレードを巧みに操作し、左右の重心移動を繰り返しながら滑走するため、速度に合わせた高度な滑走技術が必要となる。そのため下肢の筋力とバランス能力が重要となってくる。そこで本研究の目的は高度な滑走技術に必要となるバランス能力を比較・検討し、SS選手のバランス能力の特性を明らかにすることである。対象は第23回全日本SS距離別選手権出場資格取得(上位)群男子44名、女子24名、出場資格未取得(下位)群男子131名女子93名、比較対象群としてスケート未経験者(コントロール)群男子25名、女子25名とした。測定項目は身長、体重、両足立位姿勢での重心動揺(BSBL)、特性ボード上での重心動揺(BSSB)、片脚ハーフスクワット屈曲位での重心動揺(BSH)、片脚パラレルスクワット屈曲位での重心動揺(BSP)、片脚屈伸運動時での重心動揺(BSS)とした。結果はBSBL、BSHにおいて差はみられなかった。BSSB、BSP、BSSにおいて上位群と下位群、上位群とコントロー群の間に有意な差が認められた。以上より、スピードスケートケート選手では競技レベルにおいてバランス能力に差があり、競技力向上においてはバランス能力の向上が重要であることが示唆された。