【目的】本研究の目的は、小学校におけるダンスの導入が児童の転倒外傷の予防および体力に及ぼす効果を検討し、児童の健康体力づくりにつなげることである。
【方法】対象はY市E小における2013年の1年生(男子37人、女子30人)と2年生(男
子40人、女子32人)であり、3年間(2013~15年)にわたり転倒外傷の発生件数、体力(新体力テストの8項目)、1日あたりの運動やスポーツの実施時間を縦断的に調査した。ダンスの指導は週に1回(1回あたり約20分)とし、ダンスインストラクターが小学校の中休みの時間に行った(2013~15年)。なおダンス導入前後の外傷発生件数を比較するために、調査は2012年6~7月(2ヶ月間)にも実施した。
【結果・考察】2015年では外傷発生件数がダンス導入前の2012年よりもすべての学年で減少した(2012年:1年34件、2年26件、3年20件、4年10件 2015年:1年15件、2年4件、3年9件、4年8件)。さらに1日あたりの運動やスポーツの実施時間をみると、2015年では2013年よりも1日あたり1時間以上の運動を実施している児童の割合が多かった(2013年:1年男子43.2%、1年女子23.4%、2015年:3年男子54.0%、3年女子33.4%)。加えて1日あたり1時間以上の運動を実施している児童の体力は1時間未満の児童よりも高い傾向を示した。以上より小学校におけるダンスの導入により児童の運動への関心が高まり、児童の運動実施時間が増加し、転倒外傷が減少したものと考えられた。