【背景】幼児期は神経系の急激な発達がみられる期間であり運動習慣の確立は子どもの体力を高める上で重要である。【目的】本研究の目的はラダートレーニングが幼児の体力に及ぼす効果を検討し、子どもの体力向上につなげることである。【方法】対象は幼稚園(横浜市)の年長クラスの男子49人(5.9±0.3歳)、女子49人(5.9±0.4歳)とし、3種のラダートレーニング(ラダー1:前進、ラダー2:横向き、ラダー3:グーパー)を3ヶ月間実施した。トレーニングは週に約3回の頻度で行い1日あたりの時間は約5~10分であった。トレーニング前後で体力(25m走、立ち幅とび、反復横とび)および3種のラダーレベル(評価1:半分未満、評価2:半分以上、評価3:最後まで)を測定・評価した。【結果】女子のラダー2(横向き)を除くすべてのラダー評価がトレーニング後に有意に向上した。さらに25m走ではトレーニング前後で有意差は認められなかったが、反復横とびでは男女ともにトレーニング後に有意に高い値を示した(トレ前:男子10.9±2.2回、女子10.3±2.2回 トレ後:男子11.8±2.2回、女子11.2±2.0回)。【結論】3ヶ月間のラダートレーニングにより幼児の体力、特に敏捷性を示す反復横とびの値が向上することが示された。したがって神経系の発達が著しい幼児期のラダートレーニング導入は幼児の体力を高める上で効果的であると思われた。