スケート運動は重心移動を左右に繰り返しながら滑走するため、片脚支持によるバランス能力が求められる。そこで、本研究の目的は大学スケート選手の片脚支持によるバランス能力および下肢筋力を比較、検討することである。対象はN大学スピードスケート選手(SS)男子14名(年齢:19.4±1.2才、身長:170.1±5.1cm、体重:65.8±3.8kg)、女子9名(年齢:20.4±2.2才,身長:161.3±2.5cm,体重:58.6±2.6kg)およびインラインホッケー選手(IH)男子14名(年齢:19.6±1.2才,身長:171.1±4.8cm,体重:64.8±6.1kg)、女子13名(年齢:19.5±0.8才,身長:159.7±3.7cm,体重:55.3±4.8kg)とした。測定項目は身長、体重、ディジョックボード上での重心動揺(BSD)、片脚ハーフスクワット屈曲位での重心動揺(BSH)、片脚クォータースクワット屈曲位での重心動揺(BSQ)、等尺性膝伸展筋力とした。結果はBSD、BSHにおいて男女、左右脚共にSS群がIH群よりも有意に優れており、下肢筋力では女子の膝伸展筋力でSS群がIH群よりも有意に優れていた。加速において重要となる膝関節を深く屈曲した状態で大きな差がみられたことから、スケート運動ではバランス能力が重要であり、特に滑走動作の特徴である片脚支持局面でのバランス能力に大きな影響を与えることが示唆された。