【背景】バランス能力はアスリートにとって重要な能力であるが、アスリートのバランス能力に関する研究は必ずしも十分では無い。【目的】本研究は大学男子スピードスケート(S)選手とアーチェリー(A)選手を対象として、バランス能力と下肢筋力を中心に測定・比較し、両者の競技特性を明らかにすることを目的とした。【方法】被験者はN大スケート部男子12名とN大アーチェリー部男子8名の計20名とした。測定項目は身長、体重、重心動揺(総軌跡長、外周面積)、水平保持時間(HT)、等尺性筋力(膝伸展筋力、足関節底屈筋力、足指筋力)、筋量とした。なお重心動揺測定は、重心軌跡測定器(竹井機器工業社製)上にディジョッグボードを置いた場合(BSD)と置かない場合(BS)の2条件で行った。また重心動揺の測定時間は60秒間とした。【結果】S選手はA選手よりも動的バランス能力の指標であるBSDの外周面積やHTにおいて有意に優れた値を示した。しかし、静的バランス能力の指標であるBSや下肢筋力ではS選手とA選手の間に有意差はみられなかった。【結論】静的バランス能力よりも動的バランス能力において、スピードスケート選手はアーチェリー選手よりも優れていることが示された。これはスピードスケート選手の競技特性を示す結果であると思われた。