本研究の目的はレスリング選手の筋力、筋量、体脂肪量を測定し、学年、競技レベル、階級により比較・検討することである。
対象は東日本学生リーグ一部の大学レスリング選手48名、実業団所属選手7名の計55名とした。測定項目は身長、体重、背筋力、上体起こし、等尺性筋力(膝伸展、足底屈、足指)、垂直跳び、水平保持時間(HT)、筋量、体脂肪量とした。なお本研究では学年、競技レベル、階級(軽量級:55、60kg、中量級:66、74kg、重量級:84、96、120kg)で比較・検討した。
結果をみると筋量と体脂肪量では、重量級は他の階級よりも多い結果であった。しかし体重あたりの分析では、重量級は他の階級よりも筋量が少なく、背筋力、上体起こし、垂直跳び、HTも同様に有意に低い値を示した。従って重量級では、相対的な筋力、筋量、体脂肪量が少なく、今後改善の必要が示唆された。実業団選手は大学選手よりも左右上肢の筋量が有意に多く、さらに競技レベルの高い国際大会出場の選手は国内レベル選手よりも左上肢の筋量が有意に多かった。従って競技レベルの高いレスリング選手では、上肢筋力が競技パフォーマンスに影響を及ぼす事が示唆された。