本研究の目的は幼児期の運動習慣が小学1年生の体力に及ぼす影響を検討することである。
対象は横浜市立E小学校の1年生(男子:43名、女子38名)とした。測定項目は身長、体重、握力、上体起こし、長座体前屈、反復横とび、20mシャトルラン、50m走、立ち幅とび、ソフトボール投げとした。測定値はスポーツテスト得点表を用いて総合点を算出した。さらに幼児期(1歳から小学校入学前)の運動習慣の有無および現在の運動の実施状況を調査した。
幼児期の運動習慣の有無で体力を比較したが、男子では運動習慣有りの児童は無しの児童よりも、総合点が有意に高い値を示した。
一方、女子では運動習慣有りの児童は無しの児童よりも総合点が高い傾向を示したが、両者の間に有意差は認められなかった。
男子では幼児期に運動習慣有りの児童は小学校入学以降でも、スポーツクラブ等に所属し運動を実施している者が78.1%みられたが、女子ではわずか52%であった。このことが女子で総合点に有意差がみられなかった要因の一つになったものと考えられた。
以上より幼児期に運動習慣を確立し、運動を定期的に継続することは児童の体力を高める上で重要であることが示唆された。