【背景】中高齢者がバランス感覚を維持することは健康を保持する上で重要であるが、「動的バランス」に関する研究は十分ではない。
【目的】本研究では動的バランスの加齢による変化と等尺性膝伸展筋力(膝伸展筋力)との関係を検討し、中高齢者の健康づくりに役立てることを目的とした。
【方法】対象は週に1~2回の頻度で体操教室に通っている20~85才の女性100名とした。測定項目は身長、体重、膝伸展筋力、動的バランスとした。動的バランスの測定はバランス測定器(竹井機器社製)を用いて行い、動的バランスの指標として水平保持時間を測定した。
【結果】水平保持時間と膝伸展筋力との間に有意な正の相関関係が認められ、筋力が高い人ほど水平保持時間も長い傾向を示した。さらに水平保持時間と膝伸展筋力の値は年齢が進むにつれて、いずれも低下する傾向がみられた。
【結論】以上より「動的バランス」の加齢による変化と膝伸展筋力との関係が示され、加齢による動的バランスの低下を予防する意味でも脚筋力を強化する必要性が示唆された。しかし動的バランスには筋力以外に神経系も影響を及ぼすことから、今後さらに検討する必要があると考えられた。