その他の研究業績等に関する事項

基本情報

氏名 津山 薫
氏名(カナ) ツヤマ カオル
氏名(英語) TSUYAMA Kaoru

翻訳書、学会発表、講演等の名称

一輪車乗り運動が体力に及ぼす影響 --熟練者と未経験者の比較を中心として--.

その他分類

国内学会発表

単・共の別

発行または発表の年月

2009/03/07

発行所、発行雑誌等又は発表学会等の名称

日本発育発達学会第7回大会(千葉、国際武道大学)(2009/03/07-08)

概要

【目的】
 一輪車乗り運動は現在、多くの小学校で実践されており児童の発育発達を促す運動の1つとして期待されているが、一輪車乗り運動が体力に及ぼす影響については十分に研究がなされていないのが現状である。
 そこで本研究では長い間、一輪車乗り運動に取り組んできた者と未経験者との体力を比較することにより、一輪車乗り運動が体力に及ぼす影響について検討することを目的とした。

【方法】
対象は一輪車クラブ(東京都)に所属し小学生の頃から一輪車乗り運動を実践してきた女子9名(年齢:19.3±2.9歳、身長:157.8±3.4cm、体重53.0±5.7kg、一輪車歴:12.4±3.5年、以下一輪車群とする)と定期的な運動習慣が無く一輪車乗り運動を実践したことの無い女子9名であった(年齢:20.7±1.3歳、身長:156.8±4.6cm、体重51.2±10.4kg、以下コントロール:CONT群とする)。さらに、一輪車クラブ(東京都)に所属する10才~13才の女子児童も対象とした(10歳:3名、11歳:6名、12歳:6名、13歳:12名、一輪車歴:4年~8年)。
測定項目は身長、体重、握力、上体起こし、背筋力、等尺性膝伸展筋力(膝伸展筋力)、立ち幅とび、反復横とび、50m走、長座体前屈、動的バランス、骨格筋量、体脂肪率とした。なお、膝伸展筋力の測定は脚伸展筋力測定装置(竹井機器社製)を用いて実施した。また動的バランスはバランス測定器(竹井機器社製)を用いて15秒間の水平保持時間(前後)を測定した。さらに骨格筋量と体脂肪率の測定はIn Body3.2(バイオスペース社製)を使用して実施した。

【結果および考察】
 一輪車群とCONT群において測定値の比較をおこなったが、握力、上体起こし、背筋力、膝伸展筋力、立ち幅とび、反復横とび、動的バランス、骨格筋量、体脂肪率では両者の間に有意差はみられなかった。しかしながら、50m走と長座体前屈では両者の間に有意差が認められ、一輪車群はCONT群に比べて走力と柔軟性が優れていることがわかった(一輪車群:50m走8.5±0.4秒、長座体前屈49.5±5.8cm、CONT群:50m走9.1±0.6秒、長座体前屈39.9±10.1cm)。さらに一輪車クラブの10歳~13歳の児童の50m走および長座体前屈の結果をみても、文部科学省の平成19年度体力・運動能力調査(10歳~13歳女子)の平均値を上回る傾向を示していた(一輪車クラブ50m走:10歳;9.1±0.5秒、11歳;8.8±0.6秒、12歳;8.6±0.5秒、13歳;8.6±0.4秒 長座体前屈:10歳;39.3±4.6cm、11歳;39.3±5.2cm、12歳;43.0±5.6cm、13歳;44.8±5.9cm)。
このように一輪車群の50m走はCONT群に比べて有意に速かったが、これは一輪車乗り運動により神経系が改善され、走動作に必要な筋群がより多く動員されるようになったためと考えられた。さらに長座体前屈でも一輪車群はCONT群よりも有意に大きい値を示したが、これは本研究で対象とした一輪車クラブが演技種目を中心としているため、ストレッチ運動を練習の前後で十分に実施している。そのために一輪車群の長座体前屈の値はCONT群に比べて高かったものと考えられた。 
以上より一輪車乗り運動を長期間、実践することにより、特に走力や柔軟性が高まることが示された。さらに、発育期の児童においても同様な傾向がみられており、一輪車乗り運動は児童の走力や柔軟性をも高める可能性をもった運動であることが示唆された。

共著者等

津山薫、干場明日美、韓一栄、清田寛

掲載ページ数

P83