その他の研究業績等に関する事項

基本情報

氏名 津山 薫
氏名(カナ) ツヤマ カオル
氏名(英語) TSUYAMA Kaoru

翻訳書、学会発表、講演等の名称

一輪車乗り運動が児童(8~9歳)の体力に及ぼす影響

その他分類

国内学会発表

単・共の別

発行または発表の年月

2008/03/15

発行所、発行雑誌等又は発表学会等の名称

日本発育発達学会第6回大会(福岡、九州共立大学) (2008/03/15-16)

概要

【緒言】子どもの体力が低下傾向にあることがしばしば指摘されているが、子どもの運動プログラムに関する研究は十分になされていないのが現状である。我々は昨年の第5回大会において「体操教室に定期的に通う児童の体力の特性」について調査した結果を報告したが、その結果をみると、体操を定期的に実施している児童では柔軟性や平衡感覚が優れている結果が得られ、運動習慣を早期に確立し定期的に運動することの重要性が示唆された。
そこで、本研究では多くの小学校で導入されている一輪車乗り運動に着目し、一輪車乗り運動が児童の体力に及ぼす影響について検討することを目的とした。
【方法】対象は一輪車クラブ(東京都)に所属する8~9歳の女子児童19人(一輪車歴3.2±1.5年)と横浜市立T小学校の8~9歳の女子児童27人(学校以外で定期的に運動を実施していない児童)とした。なお、対象とした一輪車クラブは週に5回程度の練習をしており、1回あたりの練習時間は約2時間である。測定項目は身長、体重、等尺性膝伸展筋力(膝伸展筋力)、背筋力、反復横跳び、長座体前屈、動的バランスとした。膝伸展筋力の測定は膝伸展筋力測定装置(竹井機器社製)を用いておこなった。また動的バランスの測定はバランス測定器(竹井機器社製)を用いて15秒間の左右のバランスを測定した。                
【結果】膝伸展筋力、背筋力、動的バランスでは、いずれも両者の間に有意差は認められなかったが、反復横跳びと長座体前屈においては両者の間に有意差がみられ、一輪車クラブに所属している児童はT小学校の児童に比べて有意に大きい値を示した(反復横跳び:一輪車クラブ: 36.5±6.7回、T小学校: 28.5±9.6回、長座体前屈:一輪車クラブ: 34.2±5.0 cm、T小学校: 27.1±4.4 cm)。
【考察】本研究の結果をみると、反復横跳びと長座体前屈において、一輪車クラブの児童はT小学校の児童よりも有意に大きい値を示した。一輪車乗り運動はおもに下肢を使う運動であるため、一輪車クラブの児童はT小学校の児童に比べて下肢筋群の機能がより発達していたことが考えられる。したがって、一輪車クラブの児童では反復横跳びの結果がT小学校の児童よりも大きい値を示したものと思われた。さらに、長座体前屈をみても一輪車クラブの児童はT小学校の児童に比べて有意に大きい値を示した。本研究で対象とした一輪車クラブは一輪車の演技種目を中心に練習を実施しているクラブであるため、柔軟性は演技を行う上で非常に重要であり、練習中に柔軟性を高める運動を頻繁におこなっている。そのために一輪車クラブの児童では、柔軟性がT小学校の児童よりも大きい値を示したものと考えられた。一方、動的バランス、膝伸展筋力、背筋力では、一輪車クラブの児童とT小学校の児童との間に有意差がみられなかった。この点については今後さらに検討したい。
以上より、一輪車クラブに所属する児童は定期的に運動を実施していない児童に比べて、特に反復横跳びと長座体前屈で優れている結果が得られた。これらより一輪車乗り運動は児童の体力、特に敏捷性や柔軟性を高める上で効果的な運動の一つであることが示唆された。

共著者等

津山薫、松阪裕美、韓一栄、清田寛

掲載ページ数

P35