本研究の目的は小学生の重心動揺を横断的かつ縦断的に測定・比較することにより、小学生の重心動揺の発達に関する基礎的な資料を得ることである。対象は公立のT小学校1年~5年生計485人(1年:男子49人、女子55人、2年:男子54人、女子39人、3年:男子55人、女子45人、4年:男子54人、女子45人、5年:男子49人、女子40人)。測定項目は身長、体重、重心動揺とした。結果をみると、総軌跡長および総軌跡長/身長は学年が進むにつれて小さくなる傾向を示した。また、総軌跡長/身長を男女間で比較してみると、5年生(閉眼)においてのみ、両者の間に有意な差がみられた。さらに総軌跡長/身長の1年間の変化をみると、男子では1年~2年生、5年~6年生へ以降する時期に重心動揺が有意に低い値を示した。一方、女子では1年~2年生、3年~4年生、5年~6年生に以降する時に重心動揺が有意に低い値を示し、重心動揺が発達する傾向がみられた。以上より、小学1年~5年生を対象に重心動揺を横断的かつ縦断的に測定・比較し、その実態を明らかにした。