【背景】児童の投能力に関する研究は数多く行われてきたが、投能力以外の操作系能力に関する研究は十分になされていない。【目的】本研究の目的はボールつきを学年および男女で比較することにより小学生のボールつきの実態を明らかにし、児童の健康づくりにつなげることである。【方法】対象は首都圏の小学1~6年生(男子:463人、女子:440人)とした。測定項目は年齢、身長、体重、ボールつきとし、さらにアンケートによりボール遊びの状況や学校以外での運動頻度を調査した。【結果】男子は学年が上がるにつれてボールつき回数が有意に増加したが、女子は4年生以降からボールつき回数の有意な増加がみられなかった。さらに男子は女子よりもボールつき回数が5.6%から23.4%多い傾向を示し、1年、5年、6年で有意差が認められた。加えて「外遊びの中でボールを使った遊びを行っている児童」の割合は、いずれの学年でも男子は女子より10.2%から50.5%多い傾向を示した。さらに「学校以外で運動を実施している児童」の割合をみても男子は女子よりも6.8%から16.2%多く、特に男女差は高学年で大きくなる傾向を示した。【結論】小学生のボールつきの発達に男女差のあることが示唆され、特に女子は男子よりもボールを使った遊びを実施している児童は少ないことが分かった。したがって、児童の操作系能力を高めるためにも小学校入学前からボール遊びを積極的に行う必要性があると思われた。