【目的】幼児期から学童期に基礎運動技能を十分に獲得することは運動能力や運動有能感を高める上で重要である。そこで本研究の目的は操作系の基礎運動技能に着目しボールつき回数を学年、性別、ボール遊びの観点から比較・検討し、小学生のボールつき能力の現状を明らかにし健康づくりにつなげることである。
【方法】対象は首都圏の小学1年生192人(男子97人、女子95人)、3年生160人(男子87人、女子 73人)、5年生238人(男子118人、女子120人)とした。測定項目は身長、体重、ボールつき回数(90cm四方の制限範囲内で実施)とした。さらにボール遊びおよび学校以外における運動の実施状況に関してアンケート調査を実施した。
【結果】男女とも学年が進むにつれてボールつき回数の有意な増加が認められ、且つ男子のボールつき回数は女子に比べていずれの学年においても有意に多かった。さらに3年生と5年生では、男子は女子よりも外遊びの中でボール遊びを行う割合が有意に多かった。加えて男子では「ボール遊び多い群」のボールつき回数は「少ない群」よりもいずれの学年でも有意に多かったが、女子では両者の間に有意差は認められなかった。
【結論】女子のボールつき能力は男子よりも低く、ボール遊びを実施していた割合も少なかったことから、特に女子では神経系が発達する学童期にボール遊びを積極的に行い、操作系スキルを十分に獲得することが小学生の健康づくりに必要であると思われた。