【背景&目的】我々は、これまでに月経周期が長い女性アスリートほど骨密度が低値を示すことを報告している。一方、現在、遺伝子多型の違いによって骨密度に差異があることが報告されているが、女性アスリートにおいて検討した研究は殆ど見られない。そこで、本研究の目的は、月経周期異常とみられる女性アスリートにおける骨密度とビタミンD受容体(以下VDR)遺伝子多型との関連を検討することとした。【方法】体育大学運動部に所属する女性アスリート100名に6ヵ月以上にわたる月経周期のモニタリングを実施し、そのうち最も長い月経周期が39日以上(稀発月経及び無月経)であった65名(競技歴:9.3±3.6年)を対象とした。骨密度はDXA法により計測し、VDR遺伝子多型(rs1544410)はPCR法にて解析を行った。【結果】VDR遺伝子多型のBb型が16.9%(n=11)、bb型が83.1%(n=54)でありBB型はみられなかった。骨密度における遺伝子多型間の差異についてみると、統計的に有意な差は認められないものの、全身、腰椎及び大腿骨頸部のいずれにおいても、bb型はBb型に比べて骨密度が高い傾向がみられた。【結論】月経周期異常とみられる女性アスリートの骨密度は、VDR遺伝子多型が関連する可能性が示唆された。