細胞培養ゲル

ゲルハンドブック　エヌ・ティー・エス

ゲルは溶媒中に膨潤した不溶性の編み目である。したがってゲルは細胞に足場を提供するとともに3次元的に栄養供給も可能な基質である。細胞は生体内においては水分を多量に含んだ細胞外マトリクスに囲まれて存在している。現在、細胞培養の多くはプラスチック皿上で行われているが、ゲルは細胞にとって生体内環境に類似した環境を与えうると考えられ、実際に成果が上がっている。この総説では広く細胞培養ゲルとして用いられているⅠ型コラーゲンゲル、アガロースゲル、マトリゲルを中心にゲルの細胞培養基質としての特徴を概説した。

中里浩一、大和雅之、林利彦

ｐ.494～ｐ.499